岡村 愛奈(仮名)

学生・22歳

ミーのハー

昨日のぶんを書いている途中で寝てしまった。今日のぶんと昨日のとを合わせてデカい一日としてお送りします。

 

 

しばらくの間、濃厚接触者として家族もろとも家に閉じ込められていたのだが、今日から家族たちが隔離を解かれて社会復帰した。日中の間は家に誰もいないので、今日は久しぶりに自室を飛び出し、居間で寝転がって日がなテレビを見ていた。なんかEテレのゴールデンタイム的なやつがだいぶ後ろにずれこんでて驚いた。おかあさんといっしょが夕方6時とかからやってる。

 

録画していた「デザインあ neo」を観た。ありていに言ってしまえば小山田圭吾の一件ののちしばらく放送休止になっていた「デザインあ」が音楽制作スタッフを入れ替えて再始動したやつだ。これまではコーネリアスが単独で担当していたが、新しい担当には青葉市子・蓮沼執太・安部勇磨と複数人がクレジットされている。

デザインあ」の突然の休止と長らくの沈黙に戸惑いながら番組の復活を求めるファンの中に、「番組に罪はない、音楽だけ差し替えて放送再開を」と主張する人はたくさんいた。私はそういう意見を、番組の構成要素としての音楽をすごくないがしろにした無責任な態度だなと思って嫌悪していた。でも実際に制作陣が今のこの方針で放送を再開すると決め、実現させたことは、そういうファンの発言の軽々しさとは別に、とても重みのあることだと思った。

番組はとても良かった。コーネリアスの不在を、何か似たようなものや何か別の良い感じのもので埋め合わせるのではなく、空いた穴の輪郭をなぞるような形で補おうとしているのかなというのは、後任に誰か新しい音楽監督を一人置くのではなくて、コーネリアスや旧「デザインあ」とかかわりのある人を含むミュージシャン複数名を当てたということからも何となく感じていたが、実際に観てみて、音楽は前作の雰囲気を保ちつつも確実に後任の皆さんの持ち味で新鮮だったし、コーナーの内容や映像にも、音楽が変わったのに合わせてコンセプト面にちょっと変化が感じられた。新しい良さが多分に盛り込まれていて、驚きが多くとても面白かった。本当に良かった。映像の美しさ、気持ち良さは相変わらずずばぬけている。

でも、たとえば音楽の中にたまにだいぶ意識的にコーネリアスの作風に寄せに行っているなと感じる箇所があったり、あと前作から持ちこしているコーナーに、明らかに前作の同じコーナーの曲調に似せて作られた違う曲がついていたりするようなところから、ふとこの番組がきれいなリニューアルになりきることもできないこと、辿っている経緯に歪さがある以上どうしても「そこにいないはずの人の影」が濃く落ちていて、この番組をそれ自体で完結したものとして良い作品だねと言えないことが思われ、実際「デザインあ neo」がとても素敵な番組だっただけに、なんだかものすごくやるせなく感じる。

その上でNHK側は本当に旧「デザインあ」を「デザインあ neo」からきれいさっぱり切り離して、あたかも最初からこういう番組でしたよみたいな顔をしようとしているように見えるのがかなり腹立たしい。公式ツイッターも同じアカウントの転用ながら過去のツイートはすべて削除しているし、ちょっと許せないのが、前作の独立した番組HPが削除されて、古いリンクはすべて現在のNHKのHP内にある「デザインあ neo」の番組情報だけが書かれたページに統合されてしまったことだ。旧HPには、各コーナーの過去放送回のアーカイブ(たしか動画ではなかったけど)や、パソコンで動かして遊べるちょっとした仕掛けのほか、さまざまな立場の制作スタッフたちが交代で書き残した膨大なブログ記事が含まれていた。音楽制作のコーネリアスももちろん寄稿していたし、監修、映像作家、ディレクター、出演俳優、そのほか様々なスタッフが、制作の裏話や解説、現在の仕事に携わった経緯や自分の仕事に対する考え、などいろいろと書き残していて、どれもそれぞれに熱意とこだわりにあふれていて本当に面白かったのだ。その歴史が丸ごとなかったことになってしまった。ショックである。こんなふうに過去の放送をないがしろにするくらいだったら最初から「デザインあ」の名前なんて使わなければよかったのに、とか思わなくもない。

 

めちゃくちゃ長くなった。このへんの話については丸一年ずーっとごちゃごちゃ考えてもやもやしていたので、自分の気持ちに早く何かしらのはっきりした説明がほしくて急ぎ言葉にしてみた。できるだけ冷静に受けた印象を書こうと努めたがどうしても勢いに任せてしまった部分もあり、まとまりを欠いているうえ、なまじ理性的になろうとしているぶんめちゃくちゃな論理を振り回している部分もあるかもしれない。後ろの段落に行くにつれて長くなっているのは言いたいことの量に比例しているというよりだんだん書きながら推敲しなくなっていったからです。ちょっと落ち着いて、もう少し時間をかけて気持ちを整理していきたい。

 

あと「TAROMAN」も全話観た。すごい……面白すぎる……!これから元気がないときなどに繰り返し見返すことになると思う。大勢の力ででっかい嘘を作り上げるさまってなんかぐっとくるよな。

 

あと居間に置いてあった今村夏子『むらさきのスカートの女』を読んだ。面白かった。同じ人のほかの小説も読んでみたいと思った。

 

あとDinosaur Jr.の曲をたくさん聴いた。自分はギターがうるさくてボーカルがなんか頼りない音楽が大好きだ。ところでこれは皆さんもそうだと信じたいのだが、Dinosaur Jr.とT. Rexとを混同していた。あれ20世紀少年のやつ無いじゃんと思ったところで気がついたんだけど気づき方も含めてミーハー丸出しで恥ずかしい。